【台北=伊原健作】台湾の行政院(内閣)主計総処は21日、2019年10~12月期の実質経済成長率(速報値)が前年同期比3.38%だったと発表した。昨年11月時点の予想を0.34ポイント上回り、6四半期ぶりに3%台に乗せた。米中貿易摩擦による中国から台湾への生産シフトの動きが寄与した。11日の総統選で再選した蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の追い風となるが、中台関係の冷え込みが今後の足かせになる懸念もくすぶる。
前期比年率(季節調整済み)の成長率は6.96%だった。19年年間では前年比2.73%と、予想を0.09ポイント上回った。18年(2.75%)とほぼ横ばいで、ライバルと位置づける韓国などが貿易摩擦のあおりで失速するなか、健闘したと言える。
10~12月は設備投資などを含む資本形成が前年同期比10.72%増と、予想を6ポイント強も上回った。台湾積体電路製造(TSMC)など半導体大手が次世代通信規格「5G」に対応する投資を加速した。また主計総処の黄偉傑・専門委員は同日の記者会見で、台湾企業が中国から生産を回帰する「台商回流」に伴う投資も「大きく寄与した」と強調した。
台湾経済は米アップルなど世界IT(情報技術)大手の機器生産を担う企業がけん引役だ。多くは中国に生産拠点を築いて成長したが、米による通信機器などへの対中輸入関税引き上げを受け、生産を台湾に回帰する動きが活発化している。
輸出も2.33%増と予想を2ポイント強上回った。米中摩擦を受け米IT大手では、部品などの調達先を中国から台湾などへと切り替える動きを強める。19年年間の台湾の輸出統計では、中国(香港含む)向けが前年比4.1%減る一方、米国向けが同17.2%増えた。
「台湾は貿易摩擦の受益者だ」。経済の脱・中国依存を目指す蔡総統はこう主張し、中国から台湾への投資回帰を促す補助金などの政策を打ち出す。こうした投資回帰の申請総額は19年に2.6兆円規模に膨らみ、蔡政権は今年5月20日にスタートする2期目でも同様の取り組みを強化する見込みだ。
行政院による20年年間の経済成長率予測は前年比2.72%と、19年並みの安定成長を見込む。ただ蔡氏が統一へ圧力を強める中国への強硬姿勢を鮮明にするなか、中台関係が冷え込む懸念など変数が多い。
中台が不可分とする「一つの中国」原則を認めない蔡政権に対し、中国は外交関係の切り崩しなどで圧力を強めてきた。その一方で経済では中国に好意的な世論を醸成するため優遇策をとってきた。経済制裁は「反発を呼び、中台の距離を遠ざけかねない」(台湾経済研究院の邱達生副主任)などと可能性が低いとみる向きが多かった。
ただ蔡氏が11日の総統選で圧勝し、中国による従来の台湾統一工作は手詰まりが鮮明になった。10年に締結した中台の実質的な自由貿易協定(FTA)、経済協力枠組み協定(ECFA)の停止などの強硬路線に転じれば、台湾側への打撃は避けられない。
また米中摩擦が今後も追い風になるとも限らない。米中は直近で貿易交渉の「第1段階の合意」にこぎつけたが、ハイテク分野の覇権争いは今後も激化するとの見方が強い。台湾企業は米中双方からの受注が収益源だ。ハイテク規制でサプライチェーン(供給網)の米中デカップリング(切り離し)が発生し、悪影響が広がる懸念も抱えている。
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January 21, 2020 at 04:38PM
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