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2020年の経済見通しが3分で分かる!必読の景気予測 - Business Insider Japan

2020年の景気を勝手に予想してみた

景気の予想をするのはあまり得意ではないのですが、良く聞かれるので......今日は記事にしてみたいと思います。

当然ですが、将来予測は外れる可能性も相当ありますので、皆さんがこの記事を信じるかどうかは自己責任でお願いしますね。

今日の記事では、アメリカと日本の「経済全体」とアメリカと日本の「スタートアップ界隈」の4つに分けて私の見解を書いてみます。

アメリカを中心にした世界経済の2020年

新聞紙の画像

はじめに、アメリカを中心にした経済全体で見ると、2020年11月のアメリカ大統領選挙までは景気は今と同じくらい良いままなのではないか、と思います。

現職のトランプ大統領は少なくとも11月の選挙までの間は景気を良いまま維持するインセンティブが非常に強いので、トランプ政権としてはあらゆる手を使って今の好景気を維持してくるのではないかと思います。

フェデラル・ファンド金利のグラフ

アメリカの金利は2008年のリーマンショックの後、日本のように一時的に0%に近い水準まで金利を落としましたが、2015年頃から金利を上げ始めました。

2019年は政策金利を下げる「利下げ」と呼ばれるアクションが3回行われました。不動産や自動車など大きな買い物に対する現状の購買意欲を下げないように、中央銀行がかなり神経質に金利をコントロールしている様子が伺えます。

金利を上げすぎないようにコントロールすることで、消費行動を減らさないようにし、かつ金利が下がると株式市場に資金が流れやすくなるため、株式市場が好調になる可能性が高くなります。

おそらく大統領選挙が終わるまでは、これまでのような慎重な金利コントロールをしながら、現状の景気を維持してくるだろうというのが私の見方です。

日本経済の2020年

1万円札の写真

日本経済は、2021年9月までの安倍首相の任期中は大丈夫ではないかと思います。安倍首相はそれ以降の続投に否定的ということなので、次の首相になって、特に財政政策周りで大きな変更があるかどうかが最大の焦点だと思っています。

(誤解を恐れずに言えば)誰もが絶対失敗すると反論を唱えた、「お金を刷って円安を誘導して、輸出企業の利益を増やす」という非常に分かりやすいアベノミクスを継続できるかどうかが焦点なのではないかと思います。

日銀当座預金残高と国内銀行国債保有残高の時系列推移

このグラフの青い棒グラフ部分にあるように、マネタリーベースが圧倒的に増えて、それに伴って円安が進行したというのがアベノミクスの最大のポイントではないかと私は考えています。

日本経済全体で見ると、日本はまだ製造業の国であり、「製造業の輸出で稼ぐ」というのが基本的なPLの構造です。円安(=ドルの価値が上がるので、日本円に換算すると円高の場合より手にできる円が増える)になれば、輸出企業の利益が増えることになりますので、それで潤っているというのが今の日本経済だと言えるでしょう。

アベノミクスにどの程度の持続性があるのか?という質問に関しては私はよく分かりませんが、少なくとも過去数年間の民主党政権時代に比べると圧倒的に景気が良くなったことは皆さんもご存知ではないかと思います。

現時点でアベノミクスを超える経済政策があるとも思えないので、安倍政権の次の政権が同じ路線を踏襲できるかどうか、というのが日本経済の最大の焦点ではないかと思います。

なお、「オリンピックが終わることで景気が悪くなる」という方もいますが、個人的には全くそう思いません。

というのは、東京というのはすでに十分に発達した都市のため、オリンピックのためにゼロから街を作るということをしている訳ではありません。多少のアップダウンはあるかもしれませんが、世界で最も発達した都市の1つである東京が、オリンピックの設備投資くらいの規模で景気が揺らぐとは全く思いません。

アメリカのスタートアップ周辺の2020年

さて、次にアメリカのスタートアップ関連の主に資金調達周りの景気を予想してみたいと思います。

2019年のアメリカシリコンバレーの景気というのは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの登場によって完全に一変したと言って間違いないでしょう。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド

ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が、主にレイターステージ(ベンチャー企業でもすでに事業がある程度軌道に乗って安定している企業)ですでにIPOができるくらいの規模の会社に対しても、高いバリュエーションで良いオファーをし続けたことで、アメリカやシリコンバレー全体のスタートアップが金銭的に潤ったということは間違いありません。

一方で、2019年の後半に起こった「WeWorkショック」(シェアオフィス事業を展開し、上場直前だったWeWorkにSVFが時価総額5兆円という評価額をつけ、約1兆円の投資をしましたが、その評価額に他の投資家から疑問符がついたことで、創業CEOが辞任し、上場も取り止めとなった)により、SVFが悪者になってしまいました。その影響でアメリカのスタートアップ周りの資金調達環境は、レイターステージを震源地として、収縮が始まっているかと思います。

アーリーステージの企業への投資にこの波が来るまでに多少の時間がかかるとは思いますが、SVFの2号ファンドが立ち上がるかどうかが最大の焦点ではないでしょうか。

もしSVF2号ファンドが(1号ファンド並み=9兆円超のサイズで)立ち上がれば、これまでの景気が継続するかもしれませんが、そうならなければ投資家の財布は閉まっていく一方でしょう。

ソフトバンクビジョンファンドがちょっとヤバいかもしれない件(2020年1月8日)

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、2号ファンドの資金調達に大変な苦労をされているかと思います。しかし何かしら必ず前に進む会社だとも思いますので、今後どうなるのか注目していきたいと思っています。

日本のスタートアップ周辺の2020年

最後に、日本のスタートアップ関連の主に資金調達周りの景気を予想してみたいと思います。

ベンチャー企業の資金調達額と社数の推移

このグラフにあるとおり、過去2年間で日本のスタートアップの資金調達の環境は大きく変わってきました。

読者の中にはご存知の方も多いかもしれませんが、このスタートアップ景気を支えているのが、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC=投資を事業の柱としないが、自社の事業とシナジーが見込めるベンチャー企業に投資する企業や部署)と呼ばれる存在です。

ベンチャーキャピタル業界全体の中に占めるCVCの割合が大きいのが、日本のベンチャーキャピタル業界の大きな特徴です。

前述の通りアメリカのスタートアップ界隈の景気の見通しはあまり良くありません。しかし、日本のスタートアップ周りの資金調達環境は、CVC側に大きな未消化分(すでにCVCなどを設立するなどコミットしてしまって投資予算がまだ消化しきれていないという意味)があるので、アメリカのスタートアップの資金調達環境が悪化しても、日本のスタートアップはそこまで影響は受けないでしょう。

むしろ日本の場合は、CVCとして投資をする大企業の決算の影響が大きいので、ここもアベノミクスが継続されるかどうかが最大の焦点なのではないでしょうか。

CVCは大企業が自社で稼いだお金を直接投資をしたり、あるいはファンドを組成して投資をしたりすることになりますので、大企業の決算がとても重要になります。

個人的には首相が変わった後も、経済政策としてアベノミクスのような政策が継続されるのであれば、まだまだ企業の好景気が続くため、すでに設立したCVCを継続する方向に動きやすくなるのではないかと思います。

まとめ

以上をまとめるとこのようになります。

  • アメリカを中心にした世界経済の2020年11月のアメリカ大統領選挙までは今のまま良い景気が続くのではないか。
  • 日本経済の2020年少なくとも安倍政権が終わるまでは、今のまま良い景気が続くのではないか。それ以降はアベノミクス路線を継承するか否かによる。
  • アメリカのスタートアップ周辺の2020年ソフトバンク・ビジョン・ファンドの2号ファンドが、1号ファンド並の規模で成立するかどうかの一点に尽きるのではないか。
  • 日本のスタートアップ周辺の2020年日本全体の経済と同じく、アベノミクス路線を継承するか否かによる影響が大きい。

冒頭にも書いた通り、将来予測はあまり自信がありませんが、是非1年後に皆さんと一緒に答え合わせができればと思います。


シバタナオキ:SearchMan共同創業者。2009年、東京大学工学系研究科博士課程修了。楽天執行役員、東京大学工学系研究科助教、2009年からスタンフォード大学客員研究員。2011年にシリコンバレーでSearchManを創業。noteで「決算が読めるようになるノート」を連載中

決算が読めるようになるノートより転載(2020年1月14日公開

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