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2020年の世界経済が抱える4つの時限爆弾 - Newsweekjapan

<IMFや世銀の見通しはなぜか明るいが、「サプライズ」回避という前提条件が崩れれば下振れリスクが足を引っ張る>

思えば、2018年の世界経済は山あり谷ありだった。そして2019年はもっとひどかった。製造業は世界中で散々だったし、少なくともアメリカでは中国との貿易戦争で、農業部門が大きな打撃を受けた。それでも今年は意外や意外、大方の予測では世界経済の見通しは明るいという。

もう嵐のピークは過ぎたから、今年は(少なくとも世界全体で見れば)成長軌道に戻れるはずだ。そんな見立てである。だからIMFの予測する成長率は3.4%、世界銀行の予測でも2.7%となっている。その最大の根拠は、各国の中央銀行が今後も金融の量的緩和を続けると予想されること。そうであれば貿易戦争や投資の縮小による痛みの一部が相殺され、今年は緩やかな回復が期待できるというわけだ。

ただし、こうした強気の予想の前提には2つの、かなり恣意的な条件がある。このところ世界経済の足を引っ張っていた新興国、とりわけアルゼンチンやトルコの景気が回復すること、そして貿易戦争や財政破綻といったサプライズが回避されることだ。この2つの前提が崩れたら、2020年の世界経済は縮小に向かうだろう。

IMFも昨年10月の報告で「景気の下振れリスク」が複数あることを認めている。貿易戦争の火種はまだ残っているし、EU離脱後のイギリス経済や、転換期にある中国経済の行方も気掛かりだ。そしてもちろん、いくつかの地政学的リスクもある。

貿易戦争

アメリカと中国は、少なくとも貿易戦争の「停戦」を約束する交渉の「第1段階」に合意した。それでも両国間の貿易戦争は収束には程遠い。合意はあくまで「暫定」であり、これまで何度も同様の合意が発表されたが、結局はまとまらずに来ている。

ドナルド・トランプ大統領と習近平(シー・チンピン)国家主席が最終的に何らかの協定に署名し、両国の貿易関係が部分的に改善したとしても、アメリカによる対中関税(と中国による報復関税)の大部分は残るだろう。

ピーターソン国際経済研究所は「高関税のニューノーマル(新常態)」と称して、米中間では今後も多くの品目について比較的高い関税が維持されると予想している。つまり多くの中国製品(部品や素材など)に依存する米製造業は今後も過大な負担を強いられ、アメリカの企業や消費者の経済的な痛みは今後も続くということだ。

そして貿易摩擦は、米中間の争いだけにとどまらない。北米の新貿易協定がまとまり、中国との停戦をほぼ手中に収めたトランプ政権は、EUとの貿易交渉に再び重点を置きつつある。

アメリカは昨年10月、エアバスに対する補助金をめぐる対立を理由に、新たにEUに対する報復関税を発動した(今後、EU側がさらなる報復関税を発動する可能性もある)。さらにフランスが導入したデジタル税(ほかにも複数の国が導入を検討中)に反発し、フランス製品に追加関税を課すとも警告している。

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January 07, 2020 at 04:00PM
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