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トランプ氏、イラクに制裁警告 米軍撤収要求をけん制 - 日本経済新聞

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は5日、イラク政府などが米軍撤収を一方的に要求した場合には「前代未聞の経済制裁を科す」と警告した。イラク議会が米軍を念頭に外国部隊の撤収を求めたことを踏まえ、再考を強く促す発言だ。イラクの反米感情を高めたのは米国との見方が目立つが、トランプ政権は過激派組織「イスラム国」(IS)の壊滅に向けてイラク駐留を継続したい考えだ。

フロリダ州からワシントンに戻る大統領専用機内で記者団に語った。トランプ氏はイラクの空軍基地に多額の資金支援をしてきたと指摘し、「イラクがその資金を返済するまでイラクから撤収しない」と語った。「我々が不適切とみなすことをイラクがした場合にはとても強力な制裁を科す」と訴えた。

米国務省のオルタガス報道官も5日の声明で、イラク議会が米軍を念頭に外国部隊の撤収を求める決議案を可決したことについて「失望した」と表明した。ISの掃討作戦に関して「米国とイラク双方の国益になるはずだ」と指摘し、米軍駐留の継続が望ましいとの考えを示した。

米国務省はIS掃討作戦の継続が米イラク双方の利益になると強調した=AP

米国務省はIS掃討作戦の継続が米イラク双方の利益になると強調した=AP

イラク駐留米軍をめぐっては、イラク戦争の終結を急いだオバマ前政権が11年に撤収を完了させた。ところが撤収でイラクに力の空白が生じて過激派組織が台頭したため、14年に米軍の再派遣を余儀なくされた。現在はイラクに米兵5000人程度が駐留し、イラクの治安部隊に対して訓練や軍事情報の提供を通じてIS掃討作戦を支援している。

ただイラクを舞台にした米イランの対立はIS掃討作戦に悪影響を及ぼし始めた。IS掃討作戦を担う米軍主導の有志連合は5日、任務を中断したと発表した。イラン革命防衛隊司令官の殺害を受けて同国が米国に対する報復攻撃を検討しており、兵士や軍事施設の安全を確保する必要があると理由を説明した。

有志連合は声明で「IS壊滅支援のために我々を歓迎しているイラク政府やイラク国民のパートナーであり続ける決意だ」とも強調したが、今後もイラクでIS掃討作戦を継続できるかは不透明になりつつある。

トランプ氏は5日、イランが米国に対して報復攻撃をしないよう警告を続けた。ツイッターで報復攻撃が起きた場合には「米国はおそらく不釣り合いなやり方で迅速かつ完全に反撃する」と書き込んだ。トランプ氏は4日にイラン関連の52カ所を対象に軍事攻撃をしかける可能性に触れていた。

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