
2万8000円を超え連日バブル後最高値を更新する日経平均、過去最高値を更新し続ける米NYダウ平均株価など、株高が続いている。これに対して、「経済と乖離(かいり)した株高」と呼ぶ人もいるが、果たしてどうか。 【グラフ】米国の小売売上高は、コロナ前を超えている 日興アセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト神山直樹氏は、「株価と経済の乖離という言い方は時代遅れになってきていて、経済が回復しているというファクトは積み上がっている」と話す。
米国の小売や輸入が急回復
神山氏がファクトというのは、世界最大の経済大国である米国の経済統計だ。米国の小売売上高の推移を見ると、すでにコロナショックの落ち込みを回復し、コロナ前よりも増加している。 さらに米国の輸入額もかなり回復し、コロナ前の水準には至っていないものの、オバマ前政権時代の水準をすでに超えてきた。米国の輸入額がなぜ重要かというと、それが日本やドイツ、中国の輸出額と直結しているからだ。 実は日本の輸出は相当な回復を見せた。「日本の輸出はコロナショック前を既に回復した状態にある。リーマンショック前を抜くくらいになっている」(以下、発言は神山氏) 国内の小売、飲食、運輸産業については厳しい状況が続いているが、こと製造業についてはすでに好調だといっていい。「日本の経済に悪い印象を持っている人もいるが、財(株価)や輸出、つまり製造業については元に戻った以上になっているところもある。かなり順調に経済が回復している」
飲食や小売業績を反映しにくい日経平均
もちろんここでいう経済とは、株価のファンダメンタルズを支える企業業績のことを指す。飲食や小売産業に携わっている人口は多いが、株価の指標の1つであるTOPIXは製造業が半分を占める。そして日経平均株価の場合、電機、輸出産業の比率がさらに高くなる。 製造業の業績は相当に回復しており、それを強く反映した株価指数も高くなるのは別に“乖離”ではないということだ。生活実感としての経済状況と、株価を支える製造業における経済状況に乖離があるともいえるかもしれない。
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January 16, 2021 at 03:05AM
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