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優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺 - 朝日新聞社

連載「パリの外国ごはん」では三つのシリーズを順番に、2週に1回配信しています。
《パリの外国ごはん》は、フードライター・川村明子さんと料理家・室田万央里さんが、暮らしながらパリを旅する外国料理レストラン探訪記。
《パリの外国ごはん ふたたび。》は川村さんによる、心に残るレストランの再訪記です。

今回は再び24時間の外出禁止が始まった現地から、室田さんが《パリの外国ごはん そのあとで。》特別編を。スープの優しさがクセになる汁麺のレシピをご紹介します。

最近、仕事中にラーメンの話になりまして、そういえば、ラーメンしばらく食べてないな、と思いました。ラーメン、と聞いて「ああっ食べたい!」となるほど好きではありません。何でですかね、どちらかというと母がうどんが好きだったからかしら。

なのでパリにラーメンブームがやってきて、たくさんのお店がオープンしても、何だか他人事。しかしフランス人のラーメン好きなことよ(私の旦那含む)。あなた日本人でしょ? どこのお店のラーメンがおいしい?と聞かれても答えられなくてすみません……。

日本人が作る「ラーメン」じゃないけどコレ、私の中で最高だわ、と思ったのが手打ち麺にきのこがたっぷり入ったLe Petit Pékin(ル・プティ・ペキャン)の3種のきのこの汁麺。肉や魚を使っていない、ザ・滋味なきのこのうまみたっぷりのスープに自家製麺。一口飲むと、ああ~とため息が漏れるほっとする味。化学調味料不使用だからか、なんていうか早朝たたき起こされて枕元にこの麺が置いてあっても完食できる自信がある。なんてことを考えていたら居ても立っても居られず、きのこを買いに走り、勢いづいて麺まで打った。

ただ我が家の場合、普通のラーメンが好きな旦那がいるので、できるなら彼にもおいしく食べて欲しい。ということで、パンチのある味の要因でネギ油を追加。そして和風ラーメン的な要素としてみりんとしょうゆも追加。そして多少のジャンク感も欲しい。

そうしてできたのは、すするとLe Petit Pékinのそれよりちょっと粗削りな、北京というよりはどっかの田舎で出て来そうな、汁麺。でも一口スープをすするとああ~と声が出る、ほっとする味。今回はこのスープと、ネギ油のレシピをご紹介します。中華麺はお好みの物を。優しい味のスープなので、細麺が合う気がします。私の麺のレシピはまたいつか。

ちなみに、ネギ油は飲めるほど好きです。冷ややっこに垂らすと最高であります。揚げたネギその他もろもろも、シャクシャクたまらない何にでも乗せたくなるトッピングです。

ネギ油ときのこの汁麺(2人分)

優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺

野菜ブイヨン

・昆布 1切れ
・干しシイタケ 5g
・水 1.2リットル
・野菜クズ 両手いっぱい約80g(冷凍庫に袋や保存容器を一つ用意し、ニンジンの皮、ブロッコリーの茎、キャベツの芯、白菜の外葉、干しシイタケの石つきなど、出るたびにちょこちょことその中に入れてためておくと良いです)
・ネギの青い所 1本分
・ショウガ 1切れ

優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺

1.鍋に水、昆布と干しシイタケを入れて一晩置いておく(精進出汁〈だし〉としても使える)。
2.そこに野菜クズ、ネギ、ショウガを入れ火にかける。沸いたら弱火でくつくつと40分ほど煮込む。
3.ザルに野菜クズをあける。干しシイタケは具にするので取っておく。

きのこのスープ

・植物油 大さじ1
・にんにく 1片(みじん切り)
・きのこ 全部で70g(えのき、生シイタケ、マイタケなどお好みを2、3種類混ぜて。えのきは良い出汁が出るのでぜひ50gほど入れてください。生シイタケは四つ切り、えのき、マイタケなどは根の所を切り軽くほぐす)

・野菜ブイヨン 上記のレシピで取れた分量(約1リットル)
*時間がなければ野菜クズを煮込まないで昆布一切れとシイタケ5gを一晩1リットルの水につけた精進出汁のみ、または市販の野菜だし1リットル

・野菜ブイヨンで使った干しシイタケ(四つ切り)
・醤油 大さじ2
・みりん 大さじ2
*欧米にお住まいの方は、好みでLevure maltéeまたはニュートリショナルイースト大さじ1と1/2、日本の方は塩こうじ大さじ1/2など入れると、強いうまみ=ジャンク感が増します。

・塩 小さじ1~

1.鍋に油とニンニクを入れ熱し、香りが立ったらきのこ類を入れ、しんなりするまで炒める。
2.野菜ブイヨンを注ぎ、塩以外の調味料を入れ沸いたら5分ほど弱火でふたをして煮込む。
3.塩で味を調える。

ネギ油

・青ネギ 1本(薄切り)
・ショウガ 親指の先大1片(みじん切り)
・ニンニク 1片(みじん切り)
・赤唐辛子(干し) 丸のまま1本
・サラダ油 ネギがひたひたになるくらい(150~200ml)

1.小鍋または小さめのフライパンに全ての材料を入れ、油をひたひたになるくらいまで注ぎ火をつける。最初は中火で、油が温まりネギがシュワシュワしてきたら、弱火でたまに混ぜながらじっくりネギに火を通す。

優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺

2.ネギがやや濃いめのきつね色になったら火からおろし、網などでこす。写真より、ちょっと薄いくらいの色になるまで揚げると良い(その後余熱で更に火が入るので)。

優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺

油は小さな瓶に入れると1カ月は持つ。ネギも油をよく切り瓶に。正直このネギ油と揚げた葱を、茹(ゆ)でたての麺にしょうゆと絡めて、黒酢を垂らしてコショウをひいただけでごちそうレベルでおいしいのです。が、それはまた今度。

麺の仕上げ

・中華麺 2袋
・チンゲンサイ 1株(縦に四つに切る)
・コショウ 適量

優しさとジャンク感、どっちも欲しいときは。ネギ油ときのこの汁麺

1.鍋にたっぷりの湯を沸かし、麺を袋の表示通り茹でる。麺を上げる1分前にチンゲンサイも一緒に茹でちゃう。
2.丼に麺、チンゲンサイを入れ、熱々のスープを注ぎ、ネギ油と揚げたネギをトッピング。コショウがりがり。

うーむうまい。正直、倍量作ってスープ冷凍しとけば良かった。野菜ブイヨンを手作りしなければ超簡単です。でも、やっぱりブイヨンから作ると体に染み渡るおいしさ。ちょっとめんどくさいんですが、お時間ある時にぜひ作ってもらいたいです。
 

Le Petit Pékin(ル・プティ・ペキャン)

  • 美人餃子と、主張しない北京ダック。化学調味料不使用「Le Petit Pékin」

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    《パリの外国ごはん》 

  • 等身大で食べたい中華。穏やかな酸味、舌でとろける酸辣湯

    等身大で食べたい中華。穏やかな酸味、舌でとろける酸辣湯

    《パリの外国ごはん そのあとで。》 

  • >>「パリの外国ごはん そのあとで。」バックナンバー

    PROFILE

    室田万央里

    無類の食べ物好きの両親の元、東京に生まれる。17歳でNYに移り住んだ後、インドネシア、再び東京を経て14年前に渡仏。モード界で働いた後に“食べてもらう事の喜び”への興味が押さえきれずケータリング業に転身。イベントでのケータリングの他、料理教室、出張料理等をパリで行う。
    野菜中心の家庭料理に妄想気味のアジアンテイストが加わった料理を提供。理想の料理は母の握り飯。未だその味に到達できず。

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