通算在職期間が今月20日に歴代最長となる安倍晋三首相は、2012年末からの第2次政権では、日本経済の再生を掲げて経済政策を運営してきたが、好調な企業収益が株価を押し上げるなど一定の成果は見られるものの、道半ばの状況となっている。
アベノミクスが目指したのは、日本銀行の異次元金融緩和でデフレ脱却を図り、機動的な財政支出を含む経済対策で企業の競争力を後押しし、賃上げを通じて消費を活性化させる経済の好循環。ただ、賃上げは勢いを欠き、企業の競争力を促す成長戦略の実行や女性の活躍を促す施策でも成果は限定的だ。
以下、三つのチャートでアベノミクス下での物価、企業、労働市場の推移を検証した。
第2次政権発足当初、2年で2%の物価上昇を目指した日銀だが、物価の上昇トレンドは定着せず、目標を達成できずに長期戦を余儀なくされている。物価の伸び悩みは先進国共通の課題だが、日本では長引く経済停滞で生じたデフレマインドの払拭(ふっしょく)が容易でないことが証明される結果となっている。
日銀の緩和策も手伝い円安が続き、その効果で企業収益と株価が支えられているというのがアベノミクスの分かりやすい成果だ。財務省の統計によれば、18年度の企業の設備投資は13年度と比べて33%増加したが、一方で利益剰余金、いわゆる内部留保は同期間の比較で41%増えて463兆円に達した。これは企業が慎重姿勢を崩していないことを示している。
企業は賃上げに関しても慎重なままだ。厚生労働省のデータを基にしたブルームバーグの計算では、現金給与総額は13年から19年までの間、年平均0.3%増(19年は9月までの統計を使用)にとどまる。
安倍首相は労働市場の改善をアベノミクスの成果だと主張する。失業率は27年ぶりの水準まで下落、有効求人倍率も1970年代以来の高水準に到達と確かに改善はしている。とはいえ、トレンド転換は政権発足前に起きており、経済成長だけでなく少子高齢化や人口減少といった要素も大きく影響している。
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November 18, 2019 at 03:00AM
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