東京など9都道府県の緊急事態宣言が再延長され、経済活動の本格再開はまた遠のいた。時短などの不自由な営業に終わりが見えず、制約が大きい飲食業界では政府の対応に不満が募る。後手に回っている政府の支援策は、いまだに手元に届かない人も多い。耐えられず、今後、倒産や失業に至るケースが増えるリスクも高まっている。
宣言の再延長が決まった28日夜、東京・新宿にある老舗居酒屋は、酒類の提供も含めて通常通り営業していた。3度目の宣言が始まった4月25日から2週間は要請に従い、休業していた。だが、大型連休明け、1回目の延長期間が始まった今月12日から、営業を元に戻した。
店長の男性(47)は「短期集中ということではじめは協力した。でも、ゴールが見えない。約30人の従業員と店を守るには店を開けるしかない」と話す。再延長については「だらだら延ばすことに意味はない。政府が本腰を入れて全業種を止めるなら従うが、一部のサービス業では制限を緩和している。『経済が大事だ』というが、うちら飲食店の経済はないのでしょうか」と疑問を投げかけた。
今回の再延長の期限は6月20日。首都圏などでは2度目の宣言が出された1月以降、飲食店の多くが半年近くも時短などの制約を受け続けることになり、我慢の限界を迎えつつある。外出自粛も続き、旅行や航空・鉄道など、対面型のサービス関連の消費は落ち込みが避けられない。
野村総合研究所の木内登英氏の試算では、今回の再延長の決定で新たに生じる経済的な損失は1兆2420億円。3度目の宣言の期間全体では3兆円を超え、4~6月期は2四半期連続のマイナス成長に陥ると見込む。(土居新平)
ところが、政府や自治体の支援には遅れが目立つ。
休業を続ける東京・新橋のおでん屋の経営者(55)は、2度目の宣言中にあたる3月に営業時間を短くした際の協力金がまだ振り込まれない。「お金が届くのは早くても要請に応じた月の3カ月後くらい。少し書類に不備があればさらに遅れる。入金までの期間の運転資金がない店は厳しい」と話す。「なぜ再延長するのか、どうなったら解除するのか、根拠や基準を示してほしい。それが見えないから、飲食店が振り回されている」
1~3月の2度目の宣言で影響を受けた中小事業者向けに配る最大60万円の「一時支援金」は、24日時点の申請件数が約38万件で、そのうち給付した件数は約22万件。いずれも当初想定した160万件を大幅に下回っている。もともと申請を受け付ける体制整備が遅かったうえ、手続きの煩雑さも壁だ。不正防止のため、申請前に商工会議所や税理士などに申請者の営業実態を確認してもらう手続きが必要で、銀行や税理士に依頼しても断られる小規模事業者も少なくない。知人の申請を手伝った女性は「事前確認やら書類の保存やら、申請を阻む要件が多すぎる」と不満を漏らす。
さらに、3度目の宣言中に影…
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