麻生財務相は28日の閣議後記者会見で、緊急事態宣言の延長に伴う国内経済への影響について、「景気の『気』の部分が、すごく気になる。(宣言が)長引けば長引くほど、気になるところだ」と述べ、個人消費の先行きに懸念を示した。
大和総研の神田慶司・シニアエコノミストは、今回の宣言延長で実質国内総生産(GDP)が約7000億円押し下げられると試算している。外食や宿泊、鉄道、航空などへの影響が大きい。4月に発令された3回目の宣言全体では、1兆6000億円押し下げると推定している。
5月に主要な民間調査機関10社が予測した4~6月期の実質GDP成長率の平均は、前期比の年率換算で0・3%増だった。しかし、宣言の延長で押し下げ圧力が強まるのは必至だ。1~3月期に続く2四半期連続のマイナス成長が避けられないとの見方が広がっている。
5月末の宣言解除を前提に4~6月期のプラス成長を予測していた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎・主席研究員は、「延長で対人サービスの落ち込みが続き、マイナス成長に陥る可能性が高まった。外食業などで廃業が増える恐れがあり、雇用悪化も懸念される」と指摘している。
政府は9都道府県に対する緊急事態宣言と5県に対する「まん延防止等重点措置」の延長を受けて、企業の休業支援や資金繰りの下支え、困窮世帯向けの生活資金の貸し付けなどの支援策を延長することを決めた。
企業が従業員に支払う休業手当の一部を補助する雇用調整助成金は、宣言や重点措置の対象地域について、1日あたりの上限額を引き上げるなどの特例措置を1か月延長し、7月末まで実施する。8月以降は、感染状況や雇用情勢などを踏まえて判断する。
日本政策金融公庫など政府系金融機関による中小企業向けの実質無利子・無担保融資も申請期限を21年末まで半年延ばす。コロナ禍の長期化で売り上げが回復せず、資金繰り支援を続ける必要があると判断した。
収入が減った世帯への生活資金支援策も延長する。無利子で最大20万円を借りられる「緊急小口資金」や最大180万円を借りられる「総合支援資金」の特例措置について、申請期限を2か月延長し、8月末までとする。このほか、家賃の一部を原則9か月間、国が肩代わりする「住居確保給付金」の再支給の申請期限も9月末まで延ばす。
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May 29, 2021 at 09:07AM
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