【ワシントン＝塩原永久】米最大級の石油パイプライン（油送管）がサイバー攻撃を受け、操業を一時停止した問題で、司法省のモナコ副長官は７日、油送管の運営企業からロシア系ハッカー集団が奪った身代金の「大半を取り返した」と発表した。金銭目的で企業を狙うサイバー攻撃が「国家安全保障、経済安保にとり脅威だ」と指摘。犯罪抑止のため対抗策を強化する方針を示した。
司法省が差し押さえたのは、約２３０万ドル（約２億５千万円）相当の暗号資産（仮想通貨）「ビットコイン」。サイバー攻撃を受けた油送管運営会社「コロニアルパイプライン」は、約４４０万ドル相当をロシア拠点のハッカー集団「ダークサイド」に支払ったと米紙に認めていた。
近年、コンピューターウイルスの一種「ランサムウエア」を企業の情報システムに仕掛け、奪取した機密情報などを人質に企業から金銭を脅し取ろうとする手口が急増している。記者会見したモナコ氏は、「ランサムウエア攻撃は、あなたの組織にとり、今そこにある危機だ」と述べ、企業に対策強化を要請。サイバー攻撃を受けた場合、ただちに政府に通報し、連携して対処するよう求めた。
今回の身代金回収は、司法省に新たに設置されたランサムウエア・タスクフォースによる初めての作戦となった。米政府は身代金支払いがサイバー攻撃を助長するとして控えるよう促している。
会見に同席した連邦捜査局（ＦＢＩ）幹部は、「ダークサイドは捜査中の１００以上あるランサムウエア（を使うハッカー集団）のひとつだ」と指摘。海外拠点のハッカー集団には「資金の遮断が最大の打撃を与える手段のひとつになる」と述べ、身代金の差し押さえが有効な対策になるとの認識を示唆した。
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June 08, 2021 at 06:49AM
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油送管サイバー攻撃の身代金を米当局が奪還 対策強化へ - 産経ニュース
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