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春秋 - 日本経済新聞

ケインズが「平和の経済的帰結」という本を出したのは1919年12月のこと。ちょうど100年前である。内容は要するに、前年に終結した第1次世界大戦の後始末、つまり講和のあり方への弾劾といっていい。ドイツなど敗戦国に厳し過ぎ、将来の禍根になる、と。

▼貿易など経済に関する統計をふんだんに利用した論理の展開は、説得力に富む。さすが数字に明るい経済学者の仕事だと、うならされる。一方で、講和会議にかかわった主だった指導者たちについての人物評がなかなか味わい深い。わけても米国のウィルソン大統領に対して辛辣で、よほど腹に据えかねたのだと思われる。

▼実はケインズは、パリで開いた対独講和会議に英大蔵省の代表として参加した時期がある。会議が大詰めを迎えた19年6月に、ほぼ確定した講和条件に抗議して辞任していたのである。半年後に世に問うた一冊は、まさに警世の書だった。ケインズの懸念は的中し、20年後に起きた第2次大戦で欧州は再び戦火に焼かれた。

▼1世紀前に比べると世界は随分と一体化している。グローバル・ガバナンスも進化していると信じたいところだが、気候変動への取り組みなどをみていると心もとない。「真理の主張、幻想の暴露、憎悪の消滅、人びとの心情と精神の拡大と強化」(早坂忠訳)を――。ケインズの訴えがなお胸に迫る、クリスマスである。

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