
文在寅大統領は新年の演説で「確実な変化を体感できる年にする」と国民に約束したが…(7日)=韓国大統領府提供
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国の2019年の経済成長率が08~09年の金融危機以降、最低の2%にとどまった。経済の屋台骨である半導体の市況悪化で輸出や設備投資が冷え込んだ。韓国政府と韓国銀行(中央銀行)は20年は2.3~2.4%の成長を見込むが、これも半導体の市況回復と積極財政が頼みだ。4月の総選挙を控え、文在寅(ムン・ジェイン)政権の分配重視の経済政策は成果を示せずにいる。

「20年は経済が力強く跳躍する年になる。国民が『確実な変化』を体感できるようにする」。文氏は7日の「新年の辞」の演説で、多くの時間を経済問題に費やした。国民が景気の冷え込みに不満を募らせていることを意識したようだ。
19年の成長率が2%にとどまった最大の要因は輸出金額の2割を占める半導体の失速だ。19年の半導体輸出額は前年比で26%減少し、輸出全体では10%減と、10年ぶりに2ケタ減となった。
米中貿易戦争の激化も重なり、企業は設備投資を抑制した。建設投資も高水準だったマンションの新規着工が一巡したことで冷え込んだ。
20年は成長率が上向きそうだ。半導体の市況回復に加え、08~09年の金融危機以降、最大規模となる財政出動が景気を下支えするからだ。
韓国政府は20年、歳出を513.5兆ウォン(約48兆円)と前年度比で9%増やす。19年12月には官民合わせて100兆ウォンを投じる「20年経済政策方向」もまとめた。次世代通信規格「5G」関連投資への税額控除の拡大などで民間の投資を引き出す一方、公共投資の一部は予算の無駄遣いを防ぐ「予備妥当性調査」も省いて執行を急ぐ。
文政権が景気テコ入れに躍起なのは、4月の総選挙が迫っているからだ。17年5月の政権発足から取り組む「所得主導の成長」の成果がみえず、総選挙前に経済が失速しては政権運営が立ちゆかない。19年成長率が2%をなんとか維持したのも10~12月期に財政出動を膨らませたことによる。
所得増をてこに消費を増やし景気回復につなげようと、最低賃金を18年は16.4%、19年は10.9%それぞれ引き上げた。だが賃金急騰はかえって零細事業者の経営を圧迫し、従業員解雇や廃業が相次いだ。20年は引き上げ率を2.87%に抑える軌道修正を迫られた。
雇用創出には累計で80兆ウォンを投入する。文氏は「昨年は新規就業者が28万人に増え、雇用率は歴代最高を記録した」と自賛したが、増えたのは60歳以上が中心で、働き盛りの40歳代の雇用は減少が続く。受け皿は公共部門が中心で、主力の製造業は減る一方だ。「税金で職場をつくった」との批判も根強い。
韓国は人口が日本の半分以下で少子高齢化も進み、内需主導の成長は難しい。持続成長には新産業創出で世界市場で勝ち続ける必要がある。文氏は「多くのユニコーン企業を誕生させ、データ、ネットワーク、人工知能(AI)分野の投資を拡大し第4次産業革命の基盤をつくる」と唱える。
しかし、スタートアップ企業による挑戦は既得権の壁にぶち当たっている。ライドシェアサービスを展開する有力スタートアップの経営者は昨年10月、いわゆる「白タク」営業の容疑で検察に起訴された。背景にはタクシー業界の猛反発がある。果敢な規制緩和に踏み込まず予算のばらまきに終わるようでは新産業創出は見込めない。
一方、日本との関係悪化で供給網が変化する可能性もある。日韓経済は日本が部品・素材を韓国に供給し、韓国が半導体などの完成品をつくって世界に輸出する水平分業体制が確立している。
日本は19年7月、半導体素材などの輸出管理を厳格化したが、韓国の実体経済には大きな影響を及ぼしていない。ただ、韓国は経済の不確実性が高まったとして、部品・素材の国産化に巨額の予算をつぎ込み、脱日本依存を図ろうとしている。
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