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アリババ創業者、共産党と根深い対立 - 日本経済新聞

馬雲(ジャック・マー)氏(2018年10月)=ロイター

馬雲(ジャック・マー)氏(2018年10月)=ロイター

【香港=ヘニー・センダー】3日に新規株式公開(IPO)が直前で突然延期となったアリババ集団傘下の金融会社、アント・グループ。実質的に経営権を握るアリババ創業者、馬雲(ジャック・マー)氏と中国共産党は金融規制を巡り長年にわたって対立してきた。

3年前の11月、馬氏は自身も出演する22分ほどの短編作品「功守道」を発表した。次々と強敵を倒していく内容で、最後は太極拳のポーズを取りながら画面に言葉が映る。従うのは教義ではなく業(宿命)だ――。勇敢であれ、ただ不作法であってはならない――。

馬氏は自分自身をその言葉のような人物と考えていた。しかし、中国共産党は馬氏のことをグローバル資本主義の悪の象徴であり、態度に問題があると見ていたようだ。

アントのIPOは史上最大になると期待されていた。上海取引所でのIPO延期に規制当局が関わったことは、馬氏を巡る認識の違いをあらわにしている。

規制当局は馬氏のことを先見性のある起業家ではなく「規制下にある金融システムの寄生虫で、富の格差の象徴とみている」と、ある国際的な資産運用会社の中国トップは語る。

直前でアントの上場に反対する総意を築いたのは、複数の関係者によると習近平(シー・ジンピン)国家主席だという。関係者の一人は「この判断を下せるのは彼(習主席)だけだ」と話す。

振り返れば馬氏は規制当局や党指導部と衝突してきた。

アントの上場が承認された数日後に上海で講演した馬氏は「中国のリスクは金融システムの欠如だ。私たちは質屋の考え方が残る金融を変革し、信用に基づく発展をしていく必要がある」と語った。発言はアントに資本を積み増すことを求める規制案を念頭に置いていた。施行されるとアントの収益性は大幅に悪化し、銀行とほぼ同じ立場となってしまう。

好戦的な発言について、香港大学の陳志武教授は「何カ月も低姿勢でいたのが上場が承認され、好戦的になっても構わないと考えたのだろう」とみる。「それは計算違いでアントの事業の先行きだけでなく、中国本土の全民間企業に悪影響を与える」と分析する。

中国政府は17日、アント上場に関する今後の計画に言及した。中国証券監督管理委員会の幹部は「政府がどのように金融技術に関する規制を再構築するかによるし、企業がその変化する規制環境にどう対応するかにもよる」と語った。

規制当局はアリババやアントが資金調達をして事業を拡大するうちに、アントのビジネスモデルを警戒するようになっていった。中国人民銀行がデジタル通貨を発表したのは、アントが運営するスマホ決済「支付宝(アリペイ)」を制度上のリスクと見なしていることを示唆する。規制次第ではアントはビジネスモデルの見直しを求められる可能性もある。

アントの上場延期は多くの起業家に対し、人目に付きすぎることや裕福になりすぎることへの警告となっている。投資情報サービスを提供する英TSロンバードのエコノミストは「劇的な上場延期は、指導部が金融と技術への統制拡大だけでなく、政治的な関与を一段と強めることにつながっている」と話す。

馬氏は先見性を持ち、古い世界のルールに挑んでいる。ただ馬氏自身が勇敢と考えていることは、権力者には不作法だと思われているようだ。

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