見た目は大きく見えるが効果は極めて限定的
安倍晋三首相は事業規模26兆円の新たな経済対策をアピールする。だがこの対策では経済成長率をたかめる効果は薄いという。なぜだろうか(写真:AP/アフロ)
アメリカ株式市場は11月27日に史上最高値を更新した後、12月初旬にやや調整したものの、再び上昇して最高値圏を保っている。12月15日の中国への関税発動予定日を控えて「関税引き上げの先送りなどで米中が限定的な合意に至る」との期待が投資家の市場心理を改善させる一因になっている。
日本株の上昇は物足りない
日経平均株価は、アメリカ株式市場を後追いして11月に2万3000円台とほぼ1年ぶりの水準まで上昇してきた。米中協議や世界経済の下振れリスクの和らぎを背景とした世界的な株高の追い風があれば、日本株も上昇する。
ただ、日経平均は最高値更新を続けるアメリカ株と比べて、未だに2018年の高値すら超えるに至っていない。投資家には景気停滞が顕著で政治情勢が不安定な多くの新興国と同様に認識されているとみられ、パフォーマンスは冴えない。先進国の株価パフォーマンスを比較すると、昨年2018年はアメリカ>ヨーロッパ>日本だったが、2019年も同じ順番になりそうである。
筆者は2018年以降の株価パフォーマンス格差の最大の要因は、各国の経済政策にあると従前から指摘している。アメリカは、対中封じ込め政策を繰り出しながら、経済成長率を高める金融財政政策が一番上手くいっている。ヨーロッパでは、2018年に量的金融緩和をいったん止めた欧州中央銀行(ECB)が2019年半ばから量的緩和再開に動き、また国によって程度の差はあるが多くの国で歳出拡大や減税など拡張的な財政政策が実現している。
一方、日本では2018年半ばに、日本銀行(事務方主導と推察される)が長期金利の上昇を容認する「微調整」に踏み出した。その後、世界経済の減速もあって、労働市場を含めた経済指標の回復は止まり、CPIコアなどインフレの停滞が顕著になっている。そして、2019年にはほとんどの国が拡張的財政政策を行う中で、消費増税によって緊縮政策を強めた。
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December 12, 2019 at 05:00AM
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