Search

二極化進む日本 カギは常識破りの「高圧経済」 | | 大塚耕平 - 毎日新聞

 通常国会が閉会した。補正予算案は提出されなかったが、経済のK字化(良い先と悪い先の二極化)が極端に進んでおり、業種や産業、対象者限定のきめ細かい経済対策が必要だ。それに加え、マクロ経済政策の戦略も問われる。キーワードは「高圧経済」である。

オークンの法則

 高圧経済は、国内の需要が供給を上回り、消費や投資が活発化し、需要圧力が高まる傾向にある状態を指す。インフレ率が上昇し、労働需給が逼迫(ひっぱく)する展開を想定している。高圧経済政策はそうした状態を生み出すために、財政拡大や金融緩和を継続し、多少の過熱状態を是認する。

 高圧経済は1950年代に提唱された概念だ。56年にヘンリー・ウォーリック(14~88年)米エール大教授が「経済学者は経済の高圧運営と低圧運営の提唱者に分類できる」と言及し、高圧経済(High-pressure economy)という言葉が生まれた。

 ウォーリックは74年に米連邦準備制度理事会(FRB)理事に就任した。しかし、高圧経済を推奨したわけではなく、むしろ逆。しばしば強硬なインフレ抑制論者として注目された。

 ベルリン生まれでユダヤ人のウォーリックは、幼少時に第一次大戦後のハイパーインフレを経験し、ナチス下のユダヤ人迫害を逃れて35年に米国移住した。41年よりニューヨーク連邦銀行に勤務したほか、財務長官補佐官、大統領経済諮問委員等を経て、FRB理事に就任した。

 FRB理事としてのウォーリックは当時経済学で話題になっていたインフレ容認的な「オークンの法則」を批判し、高インフレ回避こそ雇用安定につながると主張した。

 ここで登場した「オークンの法則」は、筆者も学生時代に遭遇し、自著でも言及している。

 アーサー・オークン(28~80年)は米国の経済学者だ。ウォーリックがFRB理事に就任する前年(73年)公表の論文で「高圧経済は労働市場で弱い立場にある若者や女性に恩恵をもたらし、経済全体の生産性を高める」と主張した。

 経済成長率が高まると失業率が下がる現象に一定の関係を見いだしたのが「オークンの法則」。実証データ分析から成長と雇用の相関関係を発見したので「オークンの経験則」とも言われる。

 オークンは、高圧経済の下では企業が賃金上昇を抑制しつつ、人手不足に対応することを想定していた。そのため、それ以前の状況では雇用されない若者や女性が雇用機会を得て、技能を磨くことにもつながると考えた。

 オークンが論文を公表した73年に第1次石油危機が発生。その後の急激なインフレによる混乱の中で「オークンの法則」に対する関心も薄れていった。

イエレンの「オークン再訪」

 それから40数年後、リーマン・ショック発生後の金融緩和が景気刺激に至らない状況が続く中、2016年、イエレンFRB議長(当時)が講演で「オークンの法則」に言及。再び注目されるようになった。

Adblock test (Why?)



"経済" - Google ニュース
June 23, 2021 at 05:01AM
https://ift.tt/3gXze96

二極化進む日本 カギは常識破りの「高圧経済」 | | 大塚耕平 - 毎日新聞
"経済" - Google ニュース
https://ift.tt/2peK9o1
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "二極化進む日本 カギは常識破りの「高圧経済」 | | 大塚耕平 - 毎日新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.